本日10月1日、日本のアニメーション制作会社の一つである「マングローブ」が、9月29日付けで事業を停止し、破産手続きを開始した事が明らかになりました。
マングローブは、サンライズのプロデューサーだった小林真一郎氏や河内山隆氏らによって2002年に設立。
独特の世界観で人気を博した「サムライチャンプルー」や「Ergo Proxy」などのオリジナル作品を手掛けつつ、近年は「神のみぞ知るセカイ」シリーズ、「ハヤテのごとく!」シリーズといった「週刊少年サンデー」(小学館)原作のアニメ化なども行っており、アニメファンから広く認知されている制作スタジオの一つです。
2015年は「月刊コミック@バンチ」(新潮社)で連載中の漫画作品を原作とした「GANGSTA.」のアニメーション制作を担当し、同年7月から放送が開始。直近の9月まで放送されたものの、月末になって関係者らが給料が振り込まれないことや公式サイトに繋がらないことなどをTwitterに投稿したことから、ネット上で倒産の噂があがっていました。
※10/1、公式より「虐殺器官」の公開延期および「ハーモニー」公開日の変更が発表されました。
11月13日(金)の公開を予定していた「虐殺器官」については、制作体制の見直しのため、公開を延期するとのこと。プロジェクト第3弾として12月4日(金)に公開を予定していた「ハーモニー」は、公開を繰り上げ、当初の「虐殺器官」の公開日だった11月13日(金)より上映が開始されます。
⇒http://project-itoh.com/news/20151002_1/
アニメブームに乗って業容を拡大し、ピーク時には10億円以上の売上をあげていたというマングローブですが、最近は制作費などの負担が経営を圧迫、債務超過が続いていたといい、ここにきて資金繰りが限界に達し今回の措置となったのだそうです。負債総額は約3億5,000万円。今後さらに膨らむ可能性もあるとのこと。
目下の所、一番気になるのが、11月13日(金)に公開予定とされている劇場アニメ『虐殺器官』がどうなるのかということ。
この作品は若くして逝去したSF作家・伊藤計劃先生の同名小説を原作とするアニメ映画作品で、フジテレビ「ノイタミナ」ブランドが掲げる「ノイタミナムービー」の新プロジェクト「Project Itoh」の三部作の一つとして、「屍者の帝国」「ハーモニー」と共に劇場アニメ化が発表されており、『虐殺器官』についてはマングローブがアニメーション制作を担当していました。
この度の倒産を受けて一部で公開を危ぶむような声もありますが、今後については流動的であり、上映スケジュールを含め変更する可能性がありそうです。
マングローブはアニメーション制作会社の中堅どころとして多くの人々から認知され、数々の人気TVアニメで制作元請として携わっていただけに、今回の突然の倒産は大きな波紋を呼んでいます。
※参考
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日本SF大賞作家・伊藤計劃先生と芥川賞作家の円城塔先生による小説作品『屍者の帝国(ししゃのていこく) The Empire of Corpses』の劇場アニメ化が決定しました。
それと同時に、「Project Itoh」として映画化が発表されていた、『虐殺器官(ぎゃくさつきかん) Genocidal Organ』と『ハーモニー 〈harmony/〉』のメインスタッフが公開。
この2作品のコミカライズ連載が決定したことも明らかになりました。
『屍者の帝国』は、2009年に34歳の若さで亡くなられた伊藤先生が遺した草稿をもとに、盟友である円城先生が書き継いで完成させた長編SF小説で、初版が2012年に河出書房新社から刊行されています。
フランケンシュタインの技術が各国に広まり、死者が“屍者”として蘇生するのが当たり前となった19世紀末の世界を舞台に、英国政府機関の密命を受けた医学生の若者ジョン・ワトソンが、人造生命創造の秘密を巡って世界中を冒険する…というのが本作の大まかなあらすじです。
サイバーパンクな設定に加え、実在の人物や著名なフィクションのキャラクターが登場するパスティーシュ小説の体裁を取り込むなど、様々なジャンルが融合したエンターテイメント作品になっており、第33回日本SF大賞にて特別賞を受賞し、第44回星雲賞では日本長編部門を受賞するなど、高い評価を得ています。
映画は2015年に公開予定。
監督を務めるのは、実力派アニメーターとして知られ、2013年6月公開の「ハル」で劇場アニメの監督に抜擢された牧原亮太郎氏。
アニメーション制作は、「進撃の巨人」や「鬼灯の冷徹」などの人気作を手掛け、「ハル」で牧原氏と共に劇場アニメ映画へのデビューを飾ったWIT STUDIOが担当。
キャラクター原案には「ギルティクラウン」のredjuice氏が参加しています。
続いて、「劇場版PSYCHO-PASS サイコパス」に続くノイタミナムービー第2弾として発表された、伊藤計劃先生の小説を原作とした“Project Itoh”の2作品、『虐殺器官』と『ハーモニー』について。
『虐殺器官』は、伊藤先生のデビュー作として2007年に早川書房より刊行された小説作品。
徹底的な管理体制によって先進国からテロが無くなる一方、後進国では内戦と民族衝突、虐殺の嵐が吹き荒れ、その陰には常に“ジョン・ポール”という謎の男の存在が噂されていた。
政府の命を受けたアメリカ情報軍大尉クラヴィス・シェパードは、ジョンの足跡を追う内に、人々を虐殺へと駆り立てる「虐殺の器官」の正体と、世界のおぞましい真実を覗き見ることになる…というストーリー。
2006年度の第7回小松左京賞最終候補作であり、「ベストSF2007」国内篇第1位、「ゼロ年代SFベスト」国内篇第1位と、様々な賞に輝いた本作の劇場アニメ化に際しては、絵コンテから原画・演出・監督などを経験し、「新機動戦記ガンダムW」「アルジェントソーマ」などでキャラクターデザインを務めたことでも知られる村瀬修功氏が監督に抜擢。
アニメーション制作を「サムライチャンプルー」などのスタイリッシュな作品に定評のあるmanglobe(マングローブ)が担当します。
2006年の「Ergo Proxy」以来となる村瀬監督とmanglobeのタッグに期待です。
『ハーモニー』は伊藤先生が書き上げた長編小説としては最後の作品となった、ゼロ年代を代表するSF小説のひとつで、2008年に早川書房の「ハヤカワSFシリーズ Jコレクション」の一冊としてリリース。2010年に文庫版が刊行されました。
舞台となるのは、高度な医療環境が構築され、誰もが健全で幸せな人生を全うできるようになった近未来。
一見、ユートピアのように見える世界は、しかし一方で見せかけの優しさと倫理を押し付ける監視社会、つまりディストピアという側面も持ち合わせており、その欺瞞と脆弱さは物語中の事件を通じて浮き彫りになっていきます。
現代社会とその延長上にある未来を風刺する作品内容、そして独特の死生観に迫るテーマは、執筆当時、闘病中だった伊藤先生の胸中を察するに余りあるものです。
本作は2009年に第40回星雲賞の日本長編部門と第30回日本SF大賞を受賞し、「ベストSF2009」国内篇において第1位を獲得。
海外では2010年にビズメディアの翻訳SFレーベルHaikasoruから刊行された英訳版が、SF小説を対象とした米文学賞「フィリップ・K・ディック賞」に輝きました。
劇場版のスタッフは、監督に「ファンタジックチルドレン」のなかむらたかし氏と「鉄コン筋クリート」のマイケル・アリアス氏の二人が起用されている他、制作は「マインド・ゲーム」「鉄コン筋クリート」「ベルセルク 黄金時代篇」などを手掛けたSTUDIO4℃が担当するとのこと。
ちなみに、一迅社の百合恋愛漫画雑誌「コミック百合姫」では、2011年に『ハーモニー』のコミカライズ版の連載の話が挙がっていたのですが、諸事情の為、掲載を延期することになった と発表されて以来、現在まで続報が無いままとなっています。
その代わりかは分かりませんが、「月刊ニュータイプ」(角川書店 / KADOKAWA)の創刊30周年記念企画として、『ハーモニー』が『虐殺器官』と共に2015年春、コミカライズ化 されることが決定。
百合姫版はお蔵入りとなったのでしょうか…?
▼コミカライズ情報
・「虐殺器官」(作画:麻生我等/代表作「009 RE:CYBORG」)
・「ハーモニー」(作画:三巷文/代表作「キャプテン・アース」)
※詳細は後日公式HP、ニュータイプ誌面等にて発表予定。
なお、キャラクター原案は『虐殺器官』、『ハーモニー』、そして『屍者の帝国』も含めた「Project Itoh」の作品全てをredjuice氏が担当します。
『虐殺器官』と『ハーモニー』についてはredjuice氏が描き下ろしたイラストカバーの原作小説が発売されており、『屍者の帝国』の新カバーバージョンも近日中に発売される予定です。
この他、公式サイトではredjuice氏による新ビジュアルが公開。
ノイタミナ公式アプリにて3作品のビジュアルを使用したそれぞれの壁紙も配信中ですので、あわせてチェックしてみて下さい。
▼壁紙入手方法
・「屍者の帝国」(ノイタミナ公式アプリの合言葉入力欄に「ワトソン」と入力)
・「虐殺器官」(ノイタミナ公式アプリの合言葉入力欄に「クラヴィス」と入力)
・「ハーモニー」(ノイタミナ公式アプリの合言葉入力欄に「トァン」と入力)
ノイタミナ公式アプリについてはこちら
⇒http://noitamina.tv/official/
映画情報
◆映画『屍者の帝国』
【公開日】
2015年公開予定
【スタッフ】
原作:伊藤計劃×円城塔(河出文庫)
監督:牧原亮太郎
キャラクター原案:redjuice
制作:WIT STUDIO
【原作小説】
◆映画『虐殺器官』
【公開日】
2015年公開予定
【スタッフ】
原作:伊藤計劃(ハヤカワ文庫JA)
監督:村瀬修功
キャタクター原案:redjuice
アニメーション制作:manglobe
【原作小説】
◆映画『ハーモニー』
【公開日】
2015年公開予定
【スタッフ】
原作:伊藤計劃(ハヤカワ文庫JA)
監督:なかむらたかし、マイケル・アリアス
キャラクター原案:redjuice
アニメーション制作:STUDIO4℃
【原作小説】
ムービー
(C)Project Itoh / GENOCIDAL ORGAN
(C)Project Itoh / HARMONY
(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES
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TVアニメ『ハヤテのごとく!』の第3期となる新TVシリーズが、今秋より放送スタート。7月4日発売予定の「週刊少年サンデー」第31号で発表されています。
『ハヤテのごとく!』は、「週刊少年サンデー」(小学館)で連載中の畑健二郎先生による漫画作品。超お金持ち・三千院ナギに仕える借金執事・綾崎ハヤテを中心に展開する、パロディ満載の執事ライフコメディです。TVアニメは第2期シリーズまで放送された他、2011年8月に『劇場版 魔法先生ネギま!』と同時上映の劇場アニメ『劇場版 ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』が全国の劇場にて公開されました。
新アニメは、まったく新しい『ハヤテのごとく!』となっており、現在鋭意制作中。畑先生原案の物語を、あふれる愛と爆笑を、この秋お贈りするとのこと。アニメーション制作は、劇場版も手掛けたマングローブが担当するそうです。ファンの方は続報にもご期待下さい。
放送情報
◆『ハヤテのごとく!』新アニメ(仮)
2012年秋より放送スタート
スタッフ情報
・原作:畑健二郎(小学館「週刊少年サンデ-」連載中)
・アニメーション制作:マングローブ
※情報元:画像ソース /アニメDVD・BDの売り上げを見守るスレ避難所900より
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