CANAAN(カナン) 第12話 『忌殺劣者』より感想です。
光と影に苛む希望。
『なぜ・・・みんな私を責めるんだ。なぜ・・・みんな死ぬんだ・・・』“鉄の闘争代行人”と呼ばれ、これまで幾度となくその力強さを発揮してきたカナン。そんな彼女が初めて見せる子供のような弱々しい姿に、マリアはどんな声を掛けたらいいのか分からない。ハッコーとサンタナ、生きあがき、そして死んでいった者たちを見て、カナンはこれまでにない無力感と喪失の恐怖を心に抱いていました。人の感情を知り、触れることで弱まっていくカナンの姿は痛々しい・・・。そんなカナンを受け止めるマリアはさながら怯える子供を諭す母親のように映ります。

いつも変わらないユンユンの明るさに励まされるように列車の帰路へ。普段空気を読まない底抜けな笑顔もこの時ばかりは癒されます(笑)ミノさんはサンタナの形見である車を放っておけないからと1人残りましたが、これで出番は終わりなんでしょうか(泣 最後まで最前線に立ってほしかった・・・。
列車が検問を受けて止まる中、カナンの脳裏に浮かぶ過去の映像。そして鳴り響く銃声。向かった先にいたのは、死んだはずのシャムの姿・・・。そして亡くなった者たちの幻。トラウマであるシャムの死と自らが初めて抱いた死生観が、共感覚を通じて見せた幻影・・・といったところでしょうか。自らの奇異な感覚に捉われず、真実を見据えろというシャム。過去の幻であっても、師であり続ける彼はカナンの心に未だ強く息づいているのでしょう。

そんな中、アルファルドはマリアの前に姿を現し、以前伝えた
“役割”の意味を話す。カナンは守るべき光がある状態が最も強く、自分を理解し、愛してくれる存在があって初めて真の力を発揮するのだと。親しい人の死に怯え、心に傷が付けば落ち込む、今カナンに起きている変化を誰よりも理解して受け止められるマリアは、まさにカナンの光と呼べる存在なんでしょうね。アルファルドを前に怯むことなく、真っ向切って写真を撮らせてほしいと言う姿は“大沢マリア”としての力強さを感じる場面でした。

過去ではなく、今自分が守るべき“光”の許に向かうカナンは、共感覚が見せる幻を振り払い、真の敵と相まみえる。アルファルドとカナンの対戦はこれで二度目。最初こそ良い勝負といった感じでしたが、アルファルドの言葉の煽りを受けてどんどん追い詰められていく様子を見てると、カナンが勝てる気がしない・・・。
自分は復讐を糧に、シャムの理想通りの強さを得たというアルファルドに対し、カナンは憎しみから生まれた兵士はただの敗北者だとシャムの言葉で応戦する。しかし、それをカナンに言った時点でシャムの死は決まっていたのだとアルファルドは語る・・・。シャムは自分を遥かに超えた『カナン』という“絶望”を見続けてきたのだと。
『教えてやろう・・・私が殺したいのは、お前じゃない。お前の・・・“絶望”を殺して、私はシャムの亡霊を撃ち抜く!』自分が“カナン”と呼ばれていた頃に求められなかったものを憎悪し、欲して、それを否定する事でシャムのしがらみから解き放たれようと。アルファルドは
“カナン”という言葉に絶対的な強さを見出しているようだけど、果たしてそれは正しいのか、否か・・・アルファルドもまたカナンと同じように、感情に欠けているのではなくて、それに気付いていないだけなんじゃないかとも思えてくるんですよね・・・。

一方、マリアはアルファルドに撃たれて重傷を負い、時限爆弾を仕掛けた別車両に移されていました。ただそこにいるだけでいいと言いつつも、カナンに自分にはない強さを求め続けていた事を独白するマリア。今の無力な自分はカナンを受け止める事ができないとただ謝る姿は悲しすぎる・・・。
『ごめんね、カナン・・・。私はあなたを・・・照らすことができない・・・。私はあなたを・・・ごめんね、カナン・・・』カナンたちを助けるために瀕死のマリア1人を置いて離れていく車両。無常に過ぎていく時限爆弾のタイムリミット。未だ勝機を見出せないカナン・・・何だかもうバッドエンドまっしぐらな展開なんですが(泣) マリアが助かるとしたらやっぱり爆弾が偽物である事を信じる他ないのですが・・・でも重傷を負っているし、どうなってしまうんでしょう。ここにきてミノさんの活躍を信じるとか・・・それは無理があるかなあ・・・。
次回最終回、どんな結末を見せるのか、最期まで見届けたいと思います・・。
次回 CANAAN(カナン) 第13話(最終話) 『キボウノチ』
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