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HOME > [アニメ]アニメ紹介 > title - 【感想】アニメ『Vivy ‐Fluorite Eye's Song‐』はAIの視点で描いたSFヒューマンドラマの傑作。歌姫AIの主人公が100年の旅路の果てに得た、“心を込めて歌う”ことの意味とは…

【感想】アニメ『Vivy ‐Fluorite Eye's Song‐』はAIの視点で描いたSFヒューマンドラマの傑作。歌姫AIの主人公が100年の旅路の果てに得た、“心を込めて歌う”ことの意味とは…

『Vivy ‐Fluorite Eyes Song‐』眠りの歌姫

2021年4月から6月にかけて放送されたTVアニメメ『Vivy ‐Fluorite Eye's Song‐(ヴィヴィ・フローライト・アイズ・ソング)』。遅ればせながら、やっと最終話まで見ることができましたので、全体を通しての感想を書き残しておこうと思います。AIの視点で描いたヒューマンドラマの物語、見る人を惹き付ける随所の演出、ハイスピードなバトルアクション…どれを取っても素晴らしいクオリティの作品でした。

※核心的なネタバレは伏せていますが、一部ストーリーの内容について語っていますので、ご留意下さい。


AI(アンドロイド)が未来を変えるために奔走するストーリー


物語の舞台となるのは、AI技術が飛躍的に進歩し、人間社会にAIが欠かせなくなった近未来の世界。史上初の自律人型AIとして生み出されたヴィヴィは、テーマパークの歌姫キャストとして、ステージに立って歌う日々を送っていた。

そんな彼女の前に、マツモトと名乗る謎のAIが現れる。彼がヴィヴィに明かした「シンギュラリティ計画」の全貌。それは、未来で起きる“人類とAIの戦争”を回避するため、今後100年のAI史における転換点「シンギュラリティポイント」を是正していくという、途方も無い計画だった…。


本作のアニメーション制作は、「進撃の巨人」などで知られるWIT STUDIOが担当。原案・シリーズ構成は、ライトノベル“リゼロ”こと「Re:ゼロから始める異世界生活」の著者である長月達平先生と、同作のアニメ化作品で脚本を一部担当した梅原英司氏が共同で手掛けています。

作品のテーマは少し異なりますが、未来の危機を知る主人公が、それを回避するために行動を起こしていく…というストーリーは、リゼロとも共通するものがありますね。


「歌でみんなを幸せにする」という使命を持って生まれた、AIの主人公


突如現れたAI・マツモトの指示を受け、当初は訝しみながらも、未来の戦争回避の為、シンギュラリティ計画を遂行していくヴィヴィ。計画は100年という長期にわたりますが、常時計画のために行動するわけではなく、歴史の転換点であるシンギュラリティポイントに直面するまでは、本来の仕事である歌姫として活動したり、休眠を挟んだりして物語は進んでいきます。

AIやロボットというと、感情や情緒といったものは希薄なイメージがありますが、本作では一体一体のAIに個性が備わっているという設定です。各AIの人格や個性は、そのAIの起動時に陽電子脳内で発生するブラックボックスであり、個性が確立する詳細は明かされていないのだとか。人間は経験に基づいた考え方や周囲の影響によって徐々に個性を確立させていきますが、完成品として生み出されるAIの人格・個性の発生がブラックボックス化されているというのは面白いですね。

本作の主人公であるヴィヴィは、感情表現が薄く、使命に忠実で、一般的なAIやロボットのイメージに準ずるキャラクターと言えます。ただ、自分の使命が果たせないことに悩んだり、計画に関わった人々やAIの去就に胸を痛めたりと、その内面は繊細で、優しい性格であることがストーリー内の端々から窺えます。

まるで人間のように思考する彼女が、心について何を惑うのかは、もともと人間が定義する心という概念があやふやなものと考えれば、理解できそうです。当然、形の無いものですし、決まった答えがあるものでもありません。それでも、心を込めて歌うことで、人は感動するとヴィヴィは信じている。だから、その心の形を、答えを探し求めているんですね。ストイックで、健気で、少し不器用な、見ていたら寄り添いたくなる、そんな人物像のヒロイン(主人公)です。

ヴィヴィはもともと、「歌でみんなを幸せにする」という使命を持って生み出されたAIです。しかし、彼女は心を込めて歌うことの意味がわからない為、自分の使命を全うできないと感じており、本編では随所で思い悩む様子が見受けられます。

使命に生きるとは何か、心とは何か…。計画の関係者である人間やAI達と触れ合いながら、自らのアイデンティティを探っていく。そんなヴィヴィの、健気で、時に痛ましい姿が、見る者の心に強く訴えかけるのです。


歴史の転換点でヴィヴィが直面するもの


ストーリーの要となっている「シンギュラリティ計画」は、未来に起きる“AIによる人類抹殺”を阻止する為に、100年に渡ってAI史の転換点である「シンギュラリティポイント」を是正していくという計画です。ヴィヴィのパートナーであるマツモトは、この計画を遂行するために、100年後の未来からデータを送り込まれてきました。

ヴィヴィはマツモトから齎される情報をもとに、未来の人類虐殺の発端になり得る悲劇的な事件を解決していきます。殺されるはずだった要人を救出したり、大量の死者を出した事故を回避したり。ヴィヴィ達の行動の結果が、AIと人々との繋がりを深め、より良い未来へ導いていく。そうした積み重ねが、100年後の悲劇を回避する鍵になるんだろう、と。

そんな風に思わせるヴィヴィの活躍の一方で、彼女は時に、使命に生きるAIの悲哀を目の当たりにします。さらに、ヴィヴィはある事件の解決の際、絆で結ばれていた人とAIの幸せを、自分が終わりに導いてしまったという強いショックから、心を壊してしまうのです。

使命に生きたAI達のため、守るべき人々の為に、計画を完遂させようと必死に困難に立ち向かうヴィヴィ。そんな彼女が、未来の悲劇を避けるために、目の前の悲劇を引き起こしてしまうという矛盾。この場面は本作の物語のターニングポイントであると同時に、AIと人間の関係性を改めて考えさせられました。

そして、物語は“もうひとりの歌姫”へと移り…。「シンギュラリティ計画」は新たな局面を迎えることとなります。


物語のキーパーソン「マツモト」


ヴィヴィの相棒であり、導き手でもあるマツモトも本作に欠かせないキーキャラクターです。未来からデータを転送された、所謂「タイムリーパー」であり、彼とヴィヴィが出会うことから物語が動き出します。

マツモトはとにかく饒舌かつシニカルで、歯に衣着せぬ物言いが特徴。また、あらゆる点でヴィヴィとは対照的な人物像が描かれています。目立った感情の起伏が無いように見えて、その内では様々な思いを巡らせているヴィヴィに対して、マツモトはハイテンションな言動ながらその行動はすべて合理的、かつ自分の使命を全うする為なら冷徹かつ冷酷な判断も辞さないという、ある意味AIらしいAIです。声を担当している福山潤さんの名演もあって、人間臭さを感じさせながら、AIの使命に準じているという本作を印象付けるキャラクターとなっています。

当初は折り合いが悪く、なかなか噛み合わないヴィヴィとマツモトが、各事件での出来事を通してパートナーと呼べるほどの信頼関係を築き、協力しながら事件を解決していく。そんな二人の活躍は、ストーリーを盛り上げるハイライトとして重要な場面を際立たせます。


ここは押さえておきたい!作品の見所について


本作を語るうえで忘れてはいけないのが、物語を彩る楽曲の数々。主人公は歌姫AIですから、当然本編でも各所で歌います。もちろん、何の前触れもなく突然挟んでくるキャラソンなどではなく、ヴィヴィが物語の中で歌うことに意味がある曲ばかりです。

ここではあまり触れませんが、ヴィヴィ以外のAI(ヴィヴィの妹にあたるアンドロイド達)が歌う場面は結構あって、その一つ一つの楽曲や歌詞にしっかり想いが詰め込まれている。歌はこの作品において重要なテーマのひとつですが、物語を盛り上げるという意味でも、本当に有効な演出だと感じました。

今作の見せ場といえば、アンドロイドという特性を活かした派手なアクションも語らずにいられません。特に凄いと思ったのがAIとAIの対人戦闘です。立体的なカメラアングルを活かしながら、ハイスピードで繰り広げられる超人的なバトルシーンは本作の見所と言っても過言ではないと思います。このシーンもぜひ本編で見ていただきたいですね。


人類に作られ、人に寄り添い、使命を持って行動するAI達。そんなAIにとって、心とは何なのか。歌でみんなを幸せにすることを使命として、心の形を求め続けてきたヴィヴィが、人とAIの100年の歴史に携わり続けて得た、その答え。

AIであるヴィヴィが、心の意味を見出すって凄いことなんですよね。人間でさえ、心の定義なんてあやふやなものですし。ヴィヴィの最後の歌は、100年の旅路の中で多くを得て、また失ってきた彼女だからこそ、得られた“心の形”なのだと思います。そしてその歌声は、彼女の旅路を知る私達の胸に、万感の思いとなって響き渡るのです。

使命に生きた歌姫の姿を、是非とも多くの方に見届けて欲しい。心に残る物語で有り続けてほしい…そんな余韻を残す、素晴らしい作品でした。




(C)Vivy Score / アニプレックス・WIT STUDIO


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