化物語 第五話 『まよいマイマイ 其ノ參』 感想
化物語 第五話 『まよいマイマイ 其ノ參』より感想です。

迷い道の出口には・・・。
「化物語」第五話。『ひたぎクラブ』の時もそうでしたけれど、この物語の収束に至る過程といい、完結してから心に残る充足感といい・・・相変わらずストーリー構成が素晴らしい。おそらくここまで誰もが感じていた“違和感”の正体は、登場人物それぞれが持つ役割によって遮られていて、その理由が一つ明かされる度に複数の伏線が紐解かれていく解放感。霧が晴れた先に暦が辿りつく事になる二つの結末、それらがあってこその充足感と期待を裏切らない後語り。久しぶりにストーリーに引き込まれました。・・・なんとなく感覚でツラツラ書いてしまいましたけど、“面白い”の一言で済ますにはもったいない気がしましたので(^^;

しかし物語がほぼ会話で進行する『化物語』にあって、ヒロインとの掛け合いは魅力の一つなんだろうけど、賛否両論はあるんだろうなあ・・・。シャフトの演出は別にして。これが楽しめるか楽しめないかで評価は変わってくるんでしょうね。私自身、第二話の時点まではイマイチのめり込めませんでしたし。それでも好きになったのはやっぱり人物に感情移入できたからでしょうか。ただ正義やってる主人公じゃない、ごく普通の暦の家庭遍歴とか(実は今回の話の根本に繋がってるんですが)、一見大人びて見える真宵の子供らしい一面とか、キャラクターを好きにさせる要素が沢山あるんですよね。やっぱりこの掛け合いは『化物語』の醍醐味なんでしょう。
・・・それにしても、このエピソードの阿良々木さんははっちゃけてます(笑)『ファーストとかどうとか、キスがどうとか、そんな事が気にならなくなるくらいに揉みしだいてやらぁ!!』・・・って普通に犯罪者ですからそれ!

そして今回のお話にいなくてはならないひたぎさん。『他の女の匂いがするわ』って羽川さんが来ていたことをシャンプーの残り香で察知するとかどんな特殊能力ですかと問いたい気もしますが、暗に“他の女”が羽川さん以外に存在しない事を指しているようにも思えます。真宵が現れてから終始不機嫌だった態度は、物語の真実とひたぎの感情の二つを同時に伝えていたのでしょう。
ひたぎは暦に謝らなければならないという。それは、ある“事実”を目の当たりにしながら暦に伏せていた事への謝罪。2年以上も怪異にさらされていたひたぎにとって、暦には見えているはずの“常識”が自分に見えていないのは、また以前のように「おかしくなってしまった」という恐怖を抱くには十分な要因だったのでしょう。その事実を認めたくないために、敢てそれを口にせず、暦が見ているモノをさも自分が見えているかのように振舞っていた。つまり・・・。
『その子・・・私には見えないのよ』

薄れていく面影を求めて母親に会いに行った真宵は、交通事故に遭い・・・。母の家に辿りつく事無く、“蝸牛の怪異”と化してしまった。“迷い牛”は目的地に辿り着けなかった者が、他者の帰り道を阻害する幽霊に属する怪異。さらに忍野によれば、“蝸牛”行き遭う人物には『家に帰りたくない』と望んでいることに共通するという。つまり、真宵という“蝸牛”に行き遭ったのは、暦自身だったという事に・・・。
暦が妹とケンカして家に帰りたくないというのはエピソードの序盤から語られていましたが、真宵の姿が羽川さんに見えていたのは、彼女も家に帰りたくない事情があったからという事ですか・・・。そういえば、前回それとなく暦は羽川さんの家の事情を知っている素振りを見せてましたね。最初に真宵がひたぎには見えていないんじゃないかという疑問を解消したはずの羽川さん自身がミスリードだったなんて思いもよりませんでした。
事実が明らかになれば、ひたぎの言動もぴったり一致しますね・・・。子供嫌い発言の上で、忍野に会いに行く際の『その子と一緒にしないで』ってまるで真宵を心底嫌っているような物言いだなんて思いましたけど、実は見も知れない怪異を不安に感じていたとか・・・これまでの疑問が解消されて、辻褄が合わさっていく感覚です。
“迷い牛”への対処方法はただ“ついて行かなければいい”だけのこと。真宵自身が怪異だったのだから、“蝸牛”からから離れれば問題は解消するという。けれど、そんな事を暦は聞きたかったわけじゃない。怪異の解決は真宵を救うためにあったのだから。
『話かけないで下さい。あなたのことはキライです』・・・真宵が他人を遠ざけるために会う人皆にこの台詞を口にしていたのかと思うと切ない・・・。そんな真宵を解ってあげられる阿良々木さんだからこそ、見捨てられるわけがない。こういうタイプの主人公って心底好みです。さらに言えば無理やり熱血してない普通っぽい所がまた好感持てるんですよね・・・。
前回からツンドラだったひたぎは自分が暦にとっての特別じゃない事への嫉妬が感じられましたけど、それを乗り越えて惚れ直すって描写がまたイイ(笑) 思えばエピソードの始めから暦に自分のことを好きって言わせようとしたり、どんどんデレが強まってましたけど・・・今回はっきり表に出たのは意外でした(^^;

区画整理で新しく作られた道ばかりを使えば、情報的記憶・・・つまり知識が蓄積しない幽霊である“蝸牛”は対応できない。ようするに遠回りしてルートを選択していけば辿りつけるという寸法。現実的に対処できる事も含めてそんなにやっかいじゃないと忍野は言ったのでしょうね。
けれど辿りついた真宵の母の家があるはずの場所は何も無い私有地があるだけで・・・。
『ただいま・・・帰りました!』
光の中に消えていく真宵・・・。このシーンは切なくて辛い(;;)それでも“辿りつけた事”が真宵の救いになったのでしょうか。

そして今回のもう一つの結末は暦とひたぎの恋愛関係の樹立。ひたぎさんのデレは破壊力在り過ぎです(笑) 遠回しに好きですって何度も伝えてるのに煮え切らない阿良々木さん・・・まあ気持ちは分からなくもないですが(^^;
言葉はツンデレ(?)なのに内容は全然デレてるという・・・そんなひたぎの告白にピッタリな阿良々木さんのお返事は『流行るといいよな。戦場ヶ原、蕩れ』で気持ちよく締めてくれました(笑) 告白の返事になっているのかは微妙ですけれど(^^; これで晴れて恋人同士・・・なのかな? 今回カッコよく主人公してくれた阿良々木さんへのご褒美だと捉えておきましょう・・・いろいろ苦労もありそうだけど(笑)
真宵にもう会えないのは残念と思ってたら地縛霊から浮遊霊にランクアップしたとかで再び登場。
成仏できなかったのは母親に出会えてないからなのかな・・・。まあこれからも出番がありそうでなによりです(^^) 次回から始まる新しいエピソードにも大いに期待!

エンドカードは前回予想した通り真島ヒロ先生。マガジン勢といえばやっぱりあの方ですが・・・順番的には最後の方になりそう。
次回 化物語 第六話 『するがモンキー 其ノ壹』
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迷い道の出口には・・・。
「化物語」第五話。『ひたぎクラブ』の時もそうでしたけれど、この物語の収束に至る過程といい、完結してから心に残る充足感といい・・・相変わらずストーリー構成が素晴らしい。おそらくここまで誰もが感じていた“違和感”の正体は、登場人物それぞれが持つ役割によって遮られていて、その理由が一つ明かされる度に複数の伏線が紐解かれていく解放感。霧が晴れた先に暦が辿りつく事になる二つの結末、それらがあってこその充足感と期待を裏切らない後語り。久しぶりにストーリーに引き込まれました。・・・なんとなく感覚でツラツラ書いてしまいましたけど、“面白い”の一言で済ますにはもったいない気がしましたので(^^;

しかし物語がほぼ会話で進行する『化物語』にあって、ヒロインとの掛け合いは魅力の一つなんだろうけど、賛否両論はあるんだろうなあ・・・。シャフトの演出は別にして。これが楽しめるか楽しめないかで評価は変わってくるんでしょうね。私自身、第二話の時点まではイマイチのめり込めませんでしたし。それでも好きになったのはやっぱり人物に感情移入できたからでしょうか。ただ正義やってる主人公じゃない、ごく普通の暦の家庭遍歴とか(実は今回の話の根本に繋がってるんですが)、一見大人びて見える真宵の子供らしい一面とか、キャラクターを好きにさせる要素が沢山あるんですよね。やっぱりこの掛け合いは『化物語』の醍醐味なんでしょう。
・・・それにしても、このエピソードの阿良々木さんははっちゃけてます(笑)『ファーストとかどうとか、キスがどうとか、そんな事が気にならなくなるくらいに揉みしだいてやらぁ!!』・・・って普通に犯罪者ですからそれ!

そして今回のお話にいなくてはならないひたぎさん。『他の女の匂いがするわ』って羽川さんが来ていたことをシャンプーの残り香で察知するとかどんな特殊能力ですかと問いたい気もしますが、暗に“他の女”が羽川さん以外に存在しない事を指しているようにも思えます。真宵が現れてから終始不機嫌だった態度は、物語の真実とひたぎの感情の二つを同時に伝えていたのでしょう。
ひたぎは暦に謝らなければならないという。それは、ある“事実”を目の当たりにしながら暦に伏せていた事への謝罪。2年以上も怪異にさらされていたひたぎにとって、暦には見えているはずの“常識”が自分に見えていないのは、また以前のように「おかしくなってしまった」という恐怖を抱くには十分な要因だったのでしょう。その事実を認めたくないために、敢てそれを口にせず、暦が見ているモノをさも自分が見えているかのように振舞っていた。つまり・・・。
『その子・・・私には見えないのよ』

薄れていく面影を求めて母親に会いに行った真宵は、交通事故に遭い・・・。母の家に辿りつく事無く、“蝸牛の怪異”と化してしまった。“迷い牛”は目的地に辿り着けなかった者が、他者の帰り道を阻害する幽霊に属する怪異。さらに忍野によれば、“蝸牛”行き遭う人物には『家に帰りたくない』と望んでいることに共通するという。つまり、真宵という“蝸牛”に行き遭ったのは、暦自身だったという事に・・・。
暦が妹とケンカして家に帰りたくないというのはエピソードの序盤から語られていましたが、真宵の姿が羽川さんに見えていたのは、彼女も家に帰りたくない事情があったからという事ですか・・・。そういえば、前回それとなく暦は羽川さんの家の事情を知っている素振りを見せてましたね。最初に真宵がひたぎには見えていないんじゃないかという疑問を解消したはずの羽川さん自身がミスリードだったなんて思いもよりませんでした。
事実が明らかになれば、ひたぎの言動もぴったり一致しますね・・・。子供嫌い発言の上で、忍野に会いに行く際の『その子と一緒にしないで』ってまるで真宵を心底嫌っているような物言いだなんて思いましたけど、実は見も知れない怪異を不安に感じていたとか・・・これまでの疑問が解消されて、辻褄が合わさっていく感覚です。
“迷い牛”への対処方法はただ“ついて行かなければいい”だけのこと。真宵自身が怪異だったのだから、“蝸牛”からから離れれば問題は解消するという。けれど、そんな事を暦は聞きたかったわけじゃない。怪異の解決は真宵を救うためにあったのだから。
『話かけないで下さい。あなたのことはキライです』・・・真宵が他人を遠ざけるために会う人皆にこの台詞を口にしていたのかと思うと切ない・・・。そんな真宵を解ってあげられる阿良々木さんだからこそ、見捨てられるわけがない。こういうタイプの主人公って心底好みです。さらに言えば無理やり熱血してない普通っぽい所がまた好感持てるんですよね・・・。
前回からツンドラだったひたぎは自分が暦にとっての特別じゃない事への嫉妬が感じられましたけど、それを乗り越えて惚れ直すって描写がまたイイ(笑) 思えばエピソードの始めから暦に自分のことを好きって言わせようとしたり、どんどんデレが強まってましたけど・・・今回はっきり表に出たのは意外でした(^^;

区画整理で新しく作られた道ばかりを使えば、情報的記憶・・・つまり知識が蓄積しない幽霊である“蝸牛”は対応できない。ようするに遠回りしてルートを選択していけば辿りつけるという寸法。現実的に対処できる事も含めてそんなにやっかいじゃないと忍野は言ったのでしょうね。
けれど辿りついた真宵の母の家があるはずの場所は何も無い私有地があるだけで・・・。
『ただいま・・・帰りました!』
光の中に消えていく真宵・・・。このシーンは切なくて辛い(;;)それでも“辿りつけた事”が真宵の救いになったのでしょうか。

そして今回のもう一つの結末は暦とひたぎの恋愛関係の樹立。ひたぎさんのデレは破壊力在り過ぎです(笑) 遠回しに好きですって何度も伝えてるのに煮え切らない阿良々木さん・・・まあ気持ちは分からなくもないですが(^^;
言葉はツンデレ(?)なのに内容は全然デレてるという・・・そんなひたぎの告白にピッタリな阿良々木さんのお返事は『流行るといいよな。戦場ヶ原、蕩れ』で気持ちよく締めてくれました(笑) 告白の返事になっているのかは微妙ですけれど(^^; これで晴れて恋人同士・・・なのかな? 今回カッコよく主人公してくれた阿良々木さんへのご褒美だと捉えておきましょう・・・いろいろ苦労もありそうだけど(笑)
真宵にもう会えないのは残念と思ってたら地縛霊から浮遊霊にランクアップしたとかで再び登場。
成仏できなかったのは母親に出会えてないからなのかな・・・。まあこれからも出番がありそうでなによりです(^^) 次回から始まる新しいエピソードにも大いに期待!

エンドカードは前回予想した通り真島ヒロ先生。マガジン勢といえばやっぱりあの方ですが・・・順番的には最後の方になりそう。
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Tag ⇒ | 化物語 | 第五話『まよいマイマイ其ノ參』感想 | まよいマイマイ
この記事へのコメント
>naizeさん
はじめまして♪ ご訪問ありがとうございます!
化物語、面白いですよね(^^) 個人的に今期のアニメの中で好感度№1です(笑)
>真宵の涙の理由ですが、私が思うに、情報の蓄積がなく、対応できないということだったので、もしかしたら、最近新たに引っ越したのであろうそのお母さんの家も真宵には見えていたのではないかと思いました。
素晴らしい・・・まさにその通りだと思います。情報の蓄積がないからこそ、真宵にとっては母の家はそこに在り続けていたんですね。あの涙は悲しみに流れたのではなくて、全く逆の意味で・・・。私の中で今回のエピソードが更に昇華した気がします。
次回のお話も期待ですね♪ 素晴らしいご考察、ありがとうございました!
はじめまして♪ ご訪問ありがとうございます!
化物語、面白いですよね(^^) 個人的に今期のアニメの中で好感度№1です(笑)
>真宵の涙の理由ですが、私が思うに、情報の蓄積がなく、対応できないということだったので、もしかしたら、最近新たに引っ越したのであろうそのお母さんの家も真宵には見えていたのではないかと思いました。
素晴らしい・・・まさにその通りだと思います。情報の蓄積がないからこそ、真宵にとっては母の家はそこに在り続けていたんですね。あの涙は悲しみに流れたのではなくて、全く逆の意味で・・・。私の中で今回のエピソードが更に昇華した気がします。
次回のお話も期待ですね♪ 素晴らしいご考察、ありがとうございました!
今回を見てから、さらに第3話から見直した自分がいる。
「あ、ひたぎが照れてる」とかいろんな発見がありましたよ。
ひたぎの足の塗りミスまで発見しましたが(笑)
真宵は地縛霊ですから、あくまで帰る母親の場所ってのは元あった家の場所なんでしょうね。
二階級特進で浮遊霊ってことで、間に何が入るのかとても気になりますが(笑)
公式サイトで真宵の壁紙を配信してますが、これがえらく可愛いです。
原作買っちゃいそうだな(笑)
「あ、ひたぎが照れてる」とかいろんな発見がありましたよ。
ひたぎの足の塗りミスまで発見しましたが(笑)
真宵は地縛霊ですから、あくまで帰る母親の場所ってのは元あった家の場所なんでしょうね。
二階級特進で浮遊霊ってことで、間に何が入るのかとても気になりますが(笑)
公式サイトで真宵の壁紙を配信してますが、これがえらく可愛いです。
原作買っちゃいそうだな(笑)
>ヴィーさん
何度も視聴するのが前提というつくりになってますからね~化物語(笑) 見直すたびに新しい発見があるって素晴らしいと思います。真宵にしか見えない特別な偶像というのも良い演出だなあと。オチにもしっかり救い(視聴者的な)があって良かったです・・・(涙
何度も視聴するのが前提というつくりになってますからね~化物語(笑) 見直すたびに新しい発見があるって素晴らしいと思います。真宵にしか見えない特別な偶像というのも良い演出だなあと。オチにもしっかり救い(視聴者的な)があって良かったです・・・(涙
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いろいろと超展開だったな…。
蝸牛のキモチ。
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とても簡単でとても残酷な結末
& これぞ戦場ヶ原様クオリティ!!
何だこの切ない展開・・・
「話しかけないでください,あなたのことが嫌いです」
いい最終回でした。
本当のこと―
真宵編というよりひたぎ編の最終回みたいな感じのお話でした。お話はちょっと意外な展開で面白かったですね。
化物語 第五話 まよいマイマイ其ノ參 [ まよいマイマイ其ノ參 TOKYO MX...
ファーストタッチ
長い帰り道
化物語 第5話「まよいマイマイ 其ノ參」の感想です。
やはり毎度思うことですが今期始まった中でこの作品が間違いなく一番面白いです。
URL :
はじめまして - naize - 2009年08月02日 00:09:34
化物語、本当に面白かったですね!
怒涛の伏線回収と、まだこの後に残っていそうな伏線想像が楽しいです。
ところで、真宵の涙の理由ですが、私が思うに、情報の蓄積がなく、対応できないということだったので、もしかしたら、最近新たに引っ越したのであろうそのお母さんの家も真宵には見えていたのではないかと思いました。
真宵だけには見えていた。
だからまるで見えているかのように「ただいま」と帰って行ったのでは?と想像しました。
どうかな~。
いやあ、こんな風に色々想像できるこの作品が楽しいです。
また読みに来ますね!